乾癬は「炎症性角化症」という病気に分類されます。
皮膚のターンオーバーは通常28日周期ですが、乾癬の皮膚はターンオーバーの期間が短縮されます。
したがって皮膚の角化が亢進され、また皮膚にサイトカインなどの物質が多く出ることにより
「炎症」がおき、赤みも伴います。
遺伝的な要素がありますが、他の人に感染することはありません。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝的な要因に加え、ストレス、感染症、薬剤、
食生活、飲酒、喫煙などの外的因子や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が加わり、発症すると
考えられています。
外用治療、光線治療、内服治療、生物学的製剤の治療を単独ないし組み合わせて行います。
- ①外用治療
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- A:ビタミンD3外用薬
- 主に皮膚のターンオーバーの異常を抑えます。ガサガサした病変を改善します。
- B:ステロイド外用薬
- 皮膚の炎症を抑え、赤みを改善します。
- C:ビタミンD3+ステロイド配合薬
- ビタミンD3薬、ステロイド外用薬の両方の効果を兼ね備えています。即効性があります。
- ②光線治療
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- A:UVB療法
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UVB紫外線を照射します。乾癬の病変に最も効果があるナローバンドUVB療法や、一部の
治りにくい部位に対し部分的にUVBを照射するターゲット型エキシマランプなどがあります。
当院ではターゲット型エキシマランプを取り入れています。
- B:UVA療法
- 光感受性のある薬剤を内服、または外用しUVAを照射します。当院では行っておりません。
- ③内服治療
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- A:ビタミンA誘導体
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皮膚の角化を抑える効果があります。主な副作用は手足の落屑(皮むけ)、口唇炎、脱毛、
肝機能障害、胎児催奇形性です。胎児に影響が出るため、内服中止後女性は2年間、
男性は半年間の避妊が必要です。当院でも導入が可能です。
- B:免疫抑制剤
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乾癬の発症にかかわる過剰な免疫を抑える働きがあります。主な副作用は血圧の上昇、
多毛、腎機能障害があります。定期的に血液中の免疫抑制剤の濃度を測定し、血液中の
濃度が高い場合は量を減らすなどの調節が必要です。当院でも導入が可能です。
- C:PDE4阻害剤
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乾癬の発症に関係する酵素の働きを抑えます。主な副作用は吐き気、下痢などの
消化器症状があります。免疫を抑制する作用がないため、高齢者でも比較的使いやすい
薬剤です。当院でも導入が可能です。
- D:抗リウマチ薬
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葉酸の働きを抑えることで炎症をしずめます。主な副作用は消化器症状、肝機能障害、
また頻度は少ないですが間質性肺炎があります。また胎児の奇形や流産のおそれもあります
ので、服用中および服用中止後少なくとも女性は1月経周期、男性は3か月の避妊が必要です。
導入は基幹病院となります。
- E:TyK2阻害剤
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乾癬の炎症にかかわる部分を抑えます。免疫抑制作用や消化器症状、肺炎などがあり、
基幹病院皮膚科で各種検査を受けて、問題がなければ導入となります。維持治療は当院でも
可能です。
- ④生物学的製剤
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生物学的製剤は点滴または皮下注射の薬剤です。乾癬の発症にかかわるサイトカインを抑え、
乾癬の症状を改善する効果に優れています。上記の①-③の治療で効果が乏しい患者様、
乾癬性関節炎で関節痛が強い患者様などが対象となります。
しかし副作用も強いため、重い感染症のある患者様、治療が必要な結核、B型肝炎のある患者様、
悪性腫瘍治療中の患者様、生物製剤の成分に過去にアレルギーのある患者様は薬剤の投与が
受けられません。基幹病院で各種検査を受けた上での導入となります。維持治療は当院でも
可能です。